NO.47


粋なマドラー扱いは

 おしゃれなバーのカウンターでちょっと小粋(こいき)にきめたいもの。それには小物の扱い方がものをいう。
 まず、カクテルグラスの縁のデコレーション果物は食べても食べなくても自由。ドライマティーニーなど、カクテルピックにオリーブを刺し添えられるが、これも好み次第。
 一瞬考え込んでしまうのが、ロンググラスに入っているマドラーの始末だ。そのままでは飲みにくいし、出せばポタポタ滴が垂れて汚らしい。
 「あまり、神経質に考えず楽しんで飲んで」とはその道のプロの言葉だが、出して飲む方がよいだろう。気の利く店では最初から空のグラスを用意してくれるのでその中へ、またはコースターの端にでものせておく。
 マドラーには、かくはん以外にライムなどをつっついて酸味を出す役目もある。皮から渋みを出すため、先のとがったものをよく見かける。
 それにしても「どうぞご自由に」とゆだねられることほど、その人のセンスが問われるものはない。一本のマドラーの扱い方から貴重な出会いが生まれるかもしれない。バーカウンターは人生のちょとした舞台にもなり得る場所だ。

今井登茂子著:日本経済新聞連載「マナ−いただけません」  より